“リコメンダー”という役割の提唱

 僕がはてなブログで記事を書くのはこれが初めてとなります。まずそもそも何故はてなブログを始めようと思ったのか?そんなきっかけの話から始めようかなと思います。

 僕がはてなブログを書きたいと思ったのは、ある日Twitterテレビのスキマ/戸部田 誠さんという人を見つけたことがきっかけです。このテレビのスキマさんは沢山のテレビ番組を観ていてその感想をTwitterにあげる、いわゆる「テレビっ子」という部類の人なのですが、その観賞量・知識量の豊富さから、芸能人やテレビ関係者の方達からも信頼を置かれている方です。ちなみにはてなブログもやってます。

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 さて、このテレビのスキマさんをじゃあどうやって見つけたのかというと、佐久間宣行さんのTwitterから発見しました。佐久間さんはテレビ東京の番組プロデューサーの人で、「ゴッドタン」や「共感百景」などといった番組を手がけている、才能あるテレビマンさんです。もともと佐久間さんの番組が好きだった僕はTwitterをフォローしていて、ある日佐久間さんが「テレビのスキマさんのおすすめをチェックしてる」という内容の投稿をしていて、どんな人かなーと見てみた訳です。

 テレビのスキマさんの何がすごいか。それは、彼は決してネタバレをするのではなく、今流れているテレビの面白い部分を見ている人たちに垣間見せてくれるところです。スキマさんのつぶやきを見ると、不思議と「あ、テレビつけなきゃ」となるのです。

 こういった、一点のカルチャー、趣味に詳しい人は世の中にたくさんいます。そういう人たちは、良い言い方をすれば「専門家」、悪い言い方をすれば「オタク」、なんて呼ばれていますね。だけど僕には、テレビのスキマさんのやっていることが、どこか今までの専門家とかオタクの範疇を超えた試みのような気がしたのです。

 今までと違うとはどういうことか?例えば専門家やオタクの人は自分の知っていることを教えたり自慢したりはするのですが、それを薦めてくれるということはありません。地震学者の人が地震の研究はこういうとこが今面白いだなんてワイドショーで薦めてくれませんし、アイドルオタクの人はアイドルを好きでもない人に対して時間をかけてアイドルを応援する醍醐味を授業してくれる訳でもありません。どこか彼らには「自分の世界だけで」とどまる性質があるのです。

 ですが、テレビのスキマさんは積極的に「オススメ」を紹介してくれます。そしてそれを見ていくうちに見ている人たちは自分にあった面白い番組を見つけることができるのです。

 「オススメ」このキーワードはもしかすると重要なことなんじゃないか、そう僕は思うようになりました。もしかすると「テレビが面白くない」とか「テレビの時代はもう終わった」なんて言っている人たちは本当に面白いものに出会えてないだけなんじゃないかなって思います。僕自身、テレビのスキマさんのTwitterを見て、「こんなに面白いテレビ番組があったんだ!」と衝撃を受ける経験が何度もありました。

 世の中がつまらない、それは「オススメ」が足りてないからなんじゃないか。そんなことを感じていた時、偶然同じような意見をいってくれている記事に出会うことができました。お笑い芸人ダイノジ大谷ノブ彦さんがハフィントンポストであげていた記事です。

www.huffingtonpost.jp

 この記事で大谷さんは「リコメンドが重要になる」という発言をしています。リコメンド(recommend)、すなわち「オススメ」です。

 大谷さんいわく、聴き放題・見放題というサービスが普及しすぎた結果、消費者たちはどれを選んでいいかわからない状況に陥ってしまってるといい、その結果「リコメンダー」と呼ばれるその人その人に最適なエンターテイメントを供給する存在が重要になってくるだろうというのです。事実音楽の分野では、アメリカで「リコメンダー」なる職業が誕生しており、何百万曲という曲数がストリーミング可能な音楽サービスがこれから主流となる日本でも同じような存在が現れるだろうというのです。

 たしかに音楽の世界では昔からDJがいて、その場所・雰囲気に合った曲をセレクトしてくれます。こういった存在もある種のリコメンダーなのかもしれません。

 そして大谷さんは、この「リコメンダー」がエンターテイメント全体に広がっていくと言います。テレビ朝日の番組「アメトーーク」を例に出し、好きなものを好きな人が語り尽くすという形式が、お笑いの世界にも進出していると説明しています。まさにこの世は「リコメンドの世界」だと大谷さんは言っているのです。

 僕はこの意見にすごく共感します。そしておそらく、この先のエンターテイメントは「リコメンド」という分野が重要になっていくと思うのです。専門家・オタクと言われ、ある種別世界にやられていた人たちも本当はリコメンドし、同じ世界を共有したかったのかもしれません。池上彰さんの情報番組も、そういう側面が色濃く出ています。

 タイトルで「リコメンダーの提唱」などと書きましたが、実際は 僕が言い出した言葉でもありません。元祖だと主張したいわけでもありません。僕が言いたいのは、みんながリコメンダーとして発言していこうという提案なのです。

 すごくある分野に詳しい個人はいます。ではその世界をいろんな人と共有していったらどうでしょうか?その分野は化学反応を起こし、さらなる面白さを開拓できるのではないでしょうか。

 インターネットの普及により、個人の発言は多くの人と共有ができる時代になりました。言語や文化が交わる時、リコメンダーの役割は大きなものとなります。積極的に自分の世界をリコメンドすることを皆が始めれば、文化は大いに様相を変えるはずであり、そこに新しいエンターテイメントの可能性がある、僕はそんな気がしています。